区議会第1回定例会 予算特別委員会 区民生活委員会所管質疑を行いました。

2022年第1回定例会 予算特別委員会 区民生活

高岡じゅん子

生活者ネットワークの区民生活領域の質疑を始めます。

今日は3月11日、東日本大震災から11年目になります。地区から始める災害対策についてまずは取り上げます。

3月1日付で、「世田谷区地域行政推進条例」とその計画の素案の最新版が示されました。この条例は、世田谷区の行政組織におけるまちづくりセンターの機能を明確化し、住民による自主的な活動を活性化させることを目的に制定が進められています。総括質疑でも指摘いたしましたが、増加する単身世帯などの孤立防止は大きな課題です。地域とのつながりが薄くとも平常時には問題は感じられません。しかし、災害時に一人も取り残さない地区・コミュニティーを作るためには、今の生活に合った顔の見えるつながりを平常時から作っていくことが必要になります。

最新の素案ではまちづくりセンターについての記述のうち(防災に関わる機能の充実)の項目が書き加えられ、災害時に助け合えるコミュニティーづくりが充実すべき機能として明確にされました。地区における防災活動に関しては、これから計画に具体的書き入れていく段階のように見受けられます。避難所運営訓練などの主体的防災活動の担い手として、区民等という表現が使われていますが、これはどのような主体を指しているのでしょうか?確認します

商店街、学校、NPO法人なども地域活動の大切な主体です。更に、地域内の様々な福祉施設や介護事業者などの福祉資源も是非、防災活動の重要な一員として地区の活動に巻き込んでいっていただく必要があります。令和4年度から、災害時避難行動要援護者の個別支援計画づくりを、福祉の所管と連携して進めていく計画です。まちづくりセンターは、既に地区内の要援護者全員のリストを保管し定期的に更新しているわけですから、あんしんすこやかセンターと協力し、災害時の避難誘導などについても地区内の福祉的な資源をもっと積極的に活用することを考えていくべきです。個人情報保護について当事者自身の了解を得るなどの課題もありますが、町会自治会、福祉事業者、地域団体なども含め情報共有するには信頼関係がまず必要です。個別支援計画づくりに向けて、住民と福祉事業者等とをつなぎ地区内の顔の見える関係を広めていくことを、地域行政推進計画の(まちづくりセンターの防災機能の充実)に中に書き入れていくべきと考えます。見解を伺います。

まちづくりセンターにおける三者連携、福祉の総合窓口としての機能も活かし、個別支援計画づくりを、よろしくお願いします。

計画(素案)に特に重要な啓発テーマとして「在宅避難」が書き入れられています。地域ではどういった視点で、在宅避難を啓発していこうとしているのでしょうか。

避難所運営訓練に参加し、避難所運営をリアルに想像できる人たちには在宅避難の必要性は徐々に浸透してきているようです。先日、新代田駅前の区の広報版に避難所運営員会発で在宅避難を呼びかけるミニポスターが張り出されていました。在宅避難者も含め、共助の力を発揮し、共に生き延びるそんな地区づくりを目指す必要があります。

避難所に、ボランティア・コーディネートターがサテライト窓口を開設し地区でのニーズを聞き取り、必要な在宅避難者に、例えば飲料水などを届けるしくみも動き出しています。今見えている避難所運営訓練に出てきているような人材だけで災害時は乗り切れません。新たなつながりや人材が必要です。

 

東日本大震災から11年目ともなり、いつか必ず来る首都直下型地震への危機感も薄れがちになっています。来年度、東京都は10年間ぶりに、この間の変化を織り込んだ新しい首都直下型地震被害想定を発表するとの報道がありました。新たな被害想定の発表を機に、各地区でもう一度、自分たちの地区の特性を点検しなおすことを提案しますが、いかがでしょうか。

地区防災計画は、防災塾の活動を中心に作られていると思いますが、この防災塾への参加者人数が増えず、固定化しているのも気がかりです。新たな被害想定が出れば、自分の家や周辺の被害はどうなのか、確認したい新しい参加者も期待できるのではないかと提案しました。防災塾など地区の防災活動に、より幅広い年齢層の多様な住民に参加してもらうためのどのような方策があるでしょうか。

防災を自分事として考える興味関心を、各地区の特性をつかみ引き出していってください。個人の力「自助」だけでは大災害時は乗り切れません。地域の助け合い「互助」「共助」でカバーしあう、そのためにも地域の自治力を高めていく必要があります。「世田谷区地域行政推進条例」が実効性のあるものとなるよう、これからも注視していきます。

人権と平和をめぐって質問します。初めに、世田谷区の多文化共生社会実現に向けた質問です。

昨年の第2回定例会で、ヘイトスピーチやインターネット上の人権侵害を防ぐことを求めました。時には、何気なく発した言葉や軽い気持ちでのリツィートなどが、文化の異なる方を傷つけてしまうことにつながります。世田谷区内には約20か国2万人以上の外国の方たちが暮らしています。コロナ禍により日本への出入国が難しくなったことなど、国際情勢や社会情勢によっても、外国人ならではの不安や困りごとは変わっていきます。より豊かな多文化共生社会に世田谷区を使づけていくには、今身近に暮らしている外国人の方の声を区政に活かしていく必要があります。言葉による人権侵害などデリケートな事例については直接聞き取りなどの手法も交え、本格的な世田谷区在住外国人のニーズ調査をすべきと考えます。見解を伺います。

男女共同参画推進プランは来年度から第2次の後期計画に入ります。同じ条例に基づく多文化共生プランは令和6年度までが計画期間となっています。きちんとした調査を行いより発展的な次のプランにつなげて行くことを要望します。

次に世田谷平和資料館の活動について質問します。ロシアのウクライナ侵略は、国際法違反の武力による他国への攻撃であり、明らかに許されない暴挙です。しかし平和について突き詰めて考えていくと、兵器による国家間の争いさえなければ平和といえるのか、と言う疑問が出てきます。ヘイトスピーチがまかり通る国は平和な国でしょうか。いじめや虐待、極端な格差や搾取がある社会はどうでしょう。足元から平和や多文化共生社会を築いていくのに必要な、「平和と非平和」について、特に若い層に理解を広げるための活動を求めてきました。昨年12月行われた企画展「コロナ下のきもち」はこの要望に応える画期的な展示でした。来年度も、このような若い層と平和と人権について考える企画に取り組むことを求めます。見解を伺います。

 

「コロナ下のきもち」で展示されていたイラストは、青少年交流センターアップス協力で、中高生世代に書いてもらったものとも聞いています。今後も様々な連携を活かし、若い層に平和と人権を大切にする心を広めていってください。

 

持続可能な地域経済の活性化について、起業支援に関して先に質問します。

新たな条例が制定され、起業創業支援が強化されることを期待しています。社会課題の解決を目指す組織を立ち上げ、信用を得ていくには、法人格を持つことが必要です。NPOや一般社団法人などに加え、労働者協同組合法人ワーカーズという新しい法人格が令和4年度秋から選択可能になります。志を同じくする数人のグループが、上下関係なく雇われない働き方でつくる法人です。先行して成立した世田谷区の条例では「多様な働き方を支援する」とありますがワーカーズをどのように支援していくのでしょうか伺います。

期待しておりますので、よろしくお願いします。

新たな産業振興という視点では、環境ベンチャーの育成にも力を入れていただきたいと思います。いかがでしょうか。

環境を切り口にした新しいサービスはこれから将来性のあるジャンルだと思います。是非上手に育てていってください。

お答えを聞いていますと、池尻中学校跡地活用の活用が今後の起業創業支援に欠かせないという経済産業部の思いが伝わってきます。

他会派への答弁で、新年度のプロポーザル開始等の延期は確認しています。生活者ネットワークは公共施設の長寿命化、むやみに壊して建て替えるのではなく補強補修をしながら大事に長く建物を使うことには賛成です。今、近隣住民から陳情が出ている校庭の工事、これは令和4年度中に着手しなければならないものなのでしょうか。

設計、測量などもこれからなわけですね。いつまでの延ばすというわけにはいかないことでしょうが、新しい産業振興拠点は近隣住民に歓迎される施設になってほしいと心から願います。陳情の文を読みますと小学校の校庭が半分になり、価値が失われると思っておられるようにも読み取れます。私も新しい産業振興拠点に、中学校校舎の幅いっぱいのひろいオープンスペースがどうしても必要なのか疑問を感じますが、いかがでしょうか。

新しい産業振興拠点に本当に必要なのは、人を引き込む明るいアプローチとチャレンジができる適当な広さの区画です。そう考えれば、校庭の区切りかたなど、より良い拠点づくりのため近隣住民と建設的な対話を続けていただくことを要望し、以上で、質問を終わります。