世田谷清掃工場の全面建て替えを求めて

9月23日清掃事業見学にて

9月22日の一般質問では、世田谷清掃工場の安全性確保についても質問しました。データーに基づき、世田谷清掃工場が安全性と経済性、効率性にも大きな疑問が残ることを指摘、区として安全面と今後の改修効果や経費に関しても注視していくとの答弁を受けました。世田谷区は、今後開かれる検討の場においては全面建て替えを求めるよう強く要望いたしました。

作業室内に大規模なダイオキシン漏れ事故を起こし停止した世田谷清掃工場の、27年度の処理単価は1トン当たり5万1,463円と同じ年の千歳清掃工場が1万683円の約5倍です。世田谷区としても、廃棄物運搬費用の想定外の増加のために2億円もの補正予算を組まなければならないという不本意な事態になりました。

安全性と採算性の両面から問題を抱える、世田谷清掃工場に関しては、昨年度、対策検討委員会が開かれ、今後の世田谷工場の在り方を検討し、対策を施してきました。にもかかわらず、今年7月の作業環境測定において作業室の1部にダイオキシンの拡散が検出され、第2管理区域となった事が報告されています。これは、昨年取られた対策が、抜本対策とは言い難い、取りあえずの操業再開を最優先にしたものだったことが明らかです。

昨年度の対策検討委員会で、プラントメーカーから提案された、幾つもの修理や改善工事は、安全な操業のため必要な工事であると結論付けられ、それらの工事費用は、区民の税金から拠出される23区清掃一部事務組合の負担で実施されることも決まっています。安全な操業のための追加的な経費が、どこまで膨らんでいくか、それらの工事で本当に安全が保障されるのか。世田谷区としては、区民の立場に立ち、監視し続ける必要があります。

世田谷清掃工場の安全性に関しては、流動床式のガス化溶融炉という型式を含めプラント自体に構造的欠陥があるのだと、生活者ネットワークは指摘し続けてきました。区としては、次期の一般廃棄物処理計画のタイミングなどに合わせ、23区清掃一部事務組合に対し、使われていないプラズマ溶融炉の廃止も含め、世田谷清掃工場の全面建て替えを求めていく事を、強く要望します。

9月23日には、市民団体の皆さんと千歳台のPETボトルや不燃ごみ、粗大ごみの中間処理施設を見学しました。

世田谷清掃工場の稼働と前後して実施された、可燃・不燃ごみの分別基準の変更は「なんでも燃やせる夢の焼却炉」の導入という過剰な宣伝の効果もあり、区民の分別への取り組みにゆるみをもたらし、その影響は未だに続いています。

世田谷清掃工場では、可燃ごみに出された、プラスティックコーティングされたコード類やテーブルタップなどの細長い金属が、詰まりの原因となり、手作業での排除作業がダイオキシン漏出の原因ともなっています。その他にも、ライターなどの爆発性のあるものが可燃ごみに交じることによる事故も、安全で安定的な清掃事業を困難にしています。ライターやバスボンベを安全に処理する設備など、今まで見る機会のなかった、危険と隣り合わせの分別の現場を見ることができ、分別の徹底に向け、さらに啓発を強める必要性を感じました。